奉讃早引作法


(1)頂礼文

原文南無歸命頂礼西方阿弥陀佛
和訳南無して帰命して、西方の阿弥陀仏を頂礼したてまつる
出拠
 
曇鸞大師 『讃阿弥陀仏偈』弥陀章『真聖全』1・350-4
「南無至心歸命禮西方阿彌陀佛」をアレンジした句か。
備考「円光大師会作法」の「頂礼文」と同じであるが、譜は『声明品集』の「頂礼文」に依る。「円光大師会作法」の「頂礼文」を参照


(2)奉讃

原文(太子讃)佛智不思議ノ誓願ヲ   聖徳皇ノメグミニテ
     正定聚ニ歸入シテ    補處ノ彌勒ノゴトクナリ(以下10首)
(龍樹讃)本師龍樹菩薩ハ     智度十住毘婆娑等
     ツクリテオホク西ヲホメ ススメテ念佛セシメタリ(以下9首)
(天親讃)釋迦ノ教法オホケレド  天親菩薩ハネンゴロニ
     煩惱成就ノワレラニハ  彌陀ノ弘誓ヲススメシム(以下9首)
(曇鸞讃)本師曇鸞和尚ハ     菩提流支ノヲシヘニテ
     仙經ナガクヤキステテ  淨土ニフカク歸セシメキ(以下12首)
(道綽讃)本師道綽禪師ハ     聖道萬行サシオキテ
     唯有淨土一門ヲ     通入スベキミチトトク(以下6首)
(善導讃)大心海ヨリ化シテコソ  善導和尚トオハシケレ
     末代濁世ノタメニトテ  十方諸佛ニ證ヲコフ(以下9首)
(源信讃)源信和尚ノノタマハク  ワレコレ故佛トアラハレテ
     化縁スデニツキヌレバ  本土ニカヘルトシメシケリ(以下9首)
(源空讃)本師源空世ニイデテ   弘願ノ一乘ヒロメツツ
     日本一州コトゴトク   淨土ノ機縁アラハレヌ(以下9首)
出拠(太子讃)宗祖 『正像末和讃』
(龍樹讃)宗祖 『高僧和讃』
(天親讃)宗祖 『高僧和讃』
(曇鸞讃)宗祖 『高僧和讃』
(道綽讃)宗祖 『高僧和讃』
(善導讃)宗祖 『高僧和讃』
(源空讃)宗祖 『高僧和讃』
(源空讃)宗祖 『高僧和讃』
(太子讃)『真聖全』2・526-a3/『註釈版』615-a3
(龍樹讃)『真聖全』2・501-a5/『註釈版』578-a5
(天親讃)『真聖全』2・502-c1/『註釈版』580-a8
(曇鸞讃)『真聖全』2・503-c8/『註釈版』582-a4
(道綽讃)『真聖全』2・507-c4/『註釈版』588-a1
(善導讃)『真聖全』2・508-c1/『註釈版』589-a8
(源空讃)『真聖全』2・511-c1/『註釈版』593-b8
(源空讃)『真聖全』2・512-c8/『註釈版』595-b4
備考『声明品集』所載の「早引和讃」をそのまま依用したものであるが、「龍樹章」「天親章」は新制である。譜は、真言宗や薬師寺所伝の「四座講式」の和讃に似た旋律で、また興福寺所蔵の「涅槃講和讃」につけられた鎌倉時代の篳篥譜に類似しているというが、天台声明の「九方便」の博士を移したものとも考えられる。


(3)念仏

原文南无阿弥陀佛 南无観世音菩薩
南无大勢至菩薩 南无清浄大海衆菩薩
和訳
出拠
備考「円光大師会作法」の「念仏(四句)」と同じであるが、第四句目の終わりに「摩訶薩」を付してあるのは、『声明品集』の「四句念仏」をそのまま依用したため。


(4)回向

原文願以此功徳 平等施一切
同發菩提心 往生安樂國
和訳願はくはこの功徳をもつて、平等に一切に施し、
同じく菩提心を発して、安楽国に往生せん。
出拠善導大師 『観経疏』玄義分 「帰三宝偈」終わりの4句 『真聖全』1・442-2/『註釈版』1453-1 
備考「広文類作法」の「回向」を参照