御絵伝・第一幅・第五図
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「御絵伝」第一幅


第五図(蓮位夢想の図)

 建長8年(1256)2月9日の夜寅の時(夜明け4時頃)、常随の弟子蓮位房が夢想を感得している場面である。

 聖徳太子がひざまずき、黒衣姿で立つ親鸞聖人に向かってうやうやしく合掌礼拝している。そばで眠っているのは蓮位房で、いまこの場面の夢を見ている。蓮位房は、ときに聖徳太子が

敬礼大慈阿弥陀仏   大慈阿弥陀仏を敬礼したてまつる。
為妙教流通来生者   妙教を流通せんがために来生するは、
五濁悪時悪世界中   五濁悪時・悪世界のなかにして、
決定即得無上覚也   決定してすなはち無上覚を得しめんとなり。
と仰せられたのを夢中に聞き、夢がさめるやいなやこの文を書きとどめた。蓮位房は、聖徳太子が聖人を阿弥陀仏の化身として仰がれたことより、最高の如来が最低の凡愚となりくださっていると、ことさら親鸞聖人をあがめられたのである。

 これは聖人は84歳の時のことである。従って、順序としては第四幅目にあるべき段であるが、わざわざ年次を無視してここに入れられているのは、聖人をことさら顕彰する意味が込められている。