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(4)年忌法要と行事




10. お盆の意味(先祖への感謝と仏法を慶ぶ)
 毎年、8月のお盆時期になると、あちこちの門徒さんから“お盆参り”を頼まれ、忙しい毎日を送ることになります。特に13日から15日にかけてがピークで、お寺によっては1日に1人の僧侶が50軒も回らなければならないところもあるとか?。体力もさることながら、門徒さんの要望する日時を調整するのも一苦労です。

 そんなお盆参りで、ある年の8月16日、こんな出来事がありました。

 普段めったにお参りしないお宅でしたが、夕方、汗をふきふき駆けつけたところ、あばあさんが出てきて、いきなり「今ごろ来て!もう遅いでっしゃろ。ご先祖、あの世へ帰ってしまいはりましたがな…」と、こうです。待ちくたびれたこともあってか、いかにも不満そうです。

 こちらも疲れていて、一瞬ムッときましたが、そこらは抑えて「ご先祖が帰ったと、誰がそんなこと言いはった?」と尋ねると、「そうかて“13日に戻って来て、16日には又あの世へ帰る”と言うやおまへんか!」と、このおばあさん。

 「それはな、ご先祖への感謝と、仏法を聞くことの大切さを忘れないように、先人たちがそういう言い方で私たちに伝えて下さったんや。何もご先祖が1年に3、4日だけ私たちの所へ戻ってくるわけないやない。実際、おばあちゃんの心の中には、いつもいてくれてはるやろ」

 こう言うと、おばあさんも少しは気が安まり、こちらの話に耳を傾けてくれました。

 お盆と言えば、いわゆる“先祖供養”と考え、しかも“特定の先祖のために”供養するもののように思いがちです。しかし、特定の先祖を追慕するにしても、そのお心を仰げば仰ぐほど、数限りないご先祖によってこの私のいのちが恵まれたことを慶び、仏法を依り所に力強い人生を歩むことの大切さを思い知らされます。

 したがって「先祖のために供養する」というのではなく、ましてや、先祖が戻ってくる“日”にこだわる必要はありません。

  • 先祖が戻ってくる“日”があるのではない。
  • 先祖への感謝と仏法を慶ぼう。




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