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(2)葬儀と中陰




11. 棺にお名号が(遺体に礼拝するのではない)
 葬儀の風習は同じ浄土真宗であっても地方によって若干異なるものがあるようですが、多くの地方で、出棺前に「納棺尊号(のうかんそんごう)」というお名号を書いた紙を棺に入れるならわしが行われています。

 これは、浄土真宗の礼拝の対象が阿弥陀如来のみであることと深く関わっています。

 と言うのは、葬儀場では、もちろん正面にご本尊(絵像または名号)をおかけして礼拝読経が行われます。しかし、葬儀がすんで遺体を火葬場へ運ぶ時や火葬場に着いてからは、ご本尊がない場合が多いのです。つまり、そうした改めてご本尊をかける機会がない場合に、棺の中のお名号が礼拝の対象になるわけです。

 例えば、葬儀の時、いわゆる霊柩車(れいきゅうしゃ)に棺を乗せてお見送りをします。この時、合掌礼拝します。遺体に手を合わせているようですが、実はそこには「納棺尊号」が置かれてあり、如来さまに合掌している形になっているのです。

 また、火葬場では、到着するとすぐに棺を窯(かま)に入れ礼拝読経が行われます。この時も窯の中の遺体にではなく「納棺尊号」に礼拝していることになります。

 私たちは、故人との縁が深ければ深いほどその遺体への未練は絶ちがたく、故人への思いが募ればどうしても遺体の方へ目が向いてしまいます。人間として、それはむしろ自然なふるまいと言えましょう。

 だからこそ、私は「納棺尊号」を入れるようになった意味があると思うのです。遺体に目が向きがちな私たち凡夫のために、遺体とともに、お名号がきっちりと置かれてある。それは、如来さまがいつでもどこでもおいでになって下さっており「頼るべきは阿弥陀さまなのだ」ということに気づかしめようとされたのでしょう。

 ともあれ、棺の中には遺体とともにお名号が納められているのであり、そのお名号に合掌礼拝しているということを覚えておいて下さい。

  • 棺の中には「納棺尊号」といって、お名号が入っている。
  • 遺体にではなく、そのお名号に合掌礼拝する。




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